猛暑の影響で、農作業中に熱中症にかかるリスクが高まっています。農林水産省によれば、昨年5月から9月に田畑などでの農作業中に熱中症で救急搬送された人は2,013人と、過去5年で最も多く、今夏も、愛媛県や福岡県などで、農作業中に熱中症になったとみられる死亡事故が起きています。
2022年に起きた農作業事故のうち、熱中症による死亡者は29人で、死亡事故全体の12.2％を占めています。10年前の2012年は6.0％で、年によって増減はあるものの、割合は年々増加傾向にあります。発生は毎年7、8月が8割で、この時期に集中しています。また年代別では、70代以上が9割近くを占めています。
農業者は個人経営で1人で作業することが多いため、危険度が高くなります。1人で畑に出かけて帰らず、心配して見に行った家族が倒れているのを発見した死亡事例もあります。仕事として主に自営農業をしている基幹的農業従事者は、2024年の速報値で111万人です。うち7割が65歳以上で、高齢化も進んでいます。
（2024年7月21日 朝日新聞）
（吉村 やすのり）
