防災に関する幅広い知識を持ち、地域防災の旗振り役を期待される防災士の資格取得者が、11月に30万人を超えました。自治体の支援制度などもあり、2011年の東日本大震災から5倍以上に増え、元旦の能登半島地震の被災地でも避難所運営などで活躍しています。一方、災害時は女性被災者への目配りも必要になりますが、女性の防災士が少ないことが課題です。
防災士は都道府県別でみるとばらつきがあります。読売新聞の集計によれば、10月末時点で人口10万人あたりの最多は愛媛県の1,892人です。大分県の1,241人、高知県の970人と続き、南海トラフ地震の想定震源沿いの地域で多い傾向があります。一方、神奈川県は人口10万人あたり110人にとどまり、県内で大きな災害が起きていないため、防災意識が高まりにくいのが一因となっています。
防災士は、知識や技能を生かして自主防災組織や消防団の活動に参加したり、災害時に避難誘導や救助活動、避難所運営に当たったりするなど幅広く活動しています。しかし、資格があっても実際に活動するかどうかは本人次第です。資格を取った後の活動こそが大切で、ただ資格の更新もないので、取っただけで満足している人も多くなっています。
(2024年12月1日 読売新聞)
(吉村 やすのり)