昨年風疹が大流行し、40人もの赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断された。昨年風疹と診断された患者数は実に1万4千人に上り、その2/3は20~60歳の男性であった。先進国では見られない現象である。わが国においては、予防接種が義務化されておらず、35歳以上の男性と52歳以上の女性は予防接種をしていない人が多い。わが国においては、ワクチン接種については何らかの副反応がおこるとすぐに中止とするような傾向がある。風疹の感染を防ぐのには、予防用のワクチンの接種を受けるのが唯一無二の策である。
米国では小学校へ入学する際に風疹の抗体値を検査することなく、ワクチン接種した証明書がない場合には、全員がワクチンを接種することになっている。日本では考えられないことかもしれないが、病気を予防するためのワクチン接種の意義を考え直すべきである。副反応の実態調査は重要であるが、同様のことが子宮頸がんワクチンにも言えることである。
(2014年5月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)