わが国は諸外国に比べ養子が極めて少ない。実の親が子どもを育てられない場合、特別養子縁組も実施されており、年間350件前後が成立している。この制度は通常の養子縁組とは異なり、子どもは養親の実子として戸籍に記載され、実親との法的な親子関係は絶たれ、家庭裁判所が審判する。養子あっせんは児童相談所の他、医療法人や民間のあっせん団体が申請している。
近年、民間による申請が増加してきており、2011年度には127件と2007年と比べ6倍に増加している。その際一部の民間団体が多額の寄附金を受け取っていたことが判明し、大きな問題となった。民間団体の多くは、ボランティア活動として赤字で運営していることも多い。営利目的のあっせんを防止するためには、行政は最低限の規制をすることが必要であり、同時に支援も強力に推進することが大切である。
(2014年5月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)