森まさこ大臣が主宰する「少子化危機突破タスクフォース」は、少子化対策のための税制改正を緊急提言する。高齢者のもつ金融資産を少子化対策に活かすため、贈与税がかからずに子と孫にお金を渡せる制度が実施されている。教育資金贈与の非課税制度は、現行では1,500万円まで認められている。今回の緊急提言は、現在子どもの授業料や習い事の月謝など教育に限られている使い道を、少子化対策に拡大しようとするものである。
この贈与の仕組みを、具体的には結婚式や不妊治療にかかる費用、出産費用、出産後の育児のための費用など、結婚・妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援に幅広く認めようとする提言である。使い道の拡大とともに金額の上限も検討されることになるかもしれない。こうした世代間の資金移動は、祖父母の金融資産が多い人程思恵に俗する「富裕層優遇策」との批判もある。また、子ども3人以上の多子世帯における子育てにかかる費用負担に対する税制の優遇も検討されている。
(吉村 やすのり)