STAP細胞の問題で、理研の再生科学総合研究センターの笹井副センター長が都内で記者会見した。ES細胞研究をはじめとするわが国の再生医療の権威である笹井氏が、STAP細胞の存在はともかく、STAP現象はありうることを言明されたことは良かった。STAP細胞が作製される際の動画が残っていること、若山教授が作成されたマウスのデータが残っている点が、STAP細胞がないと科学的に説明がつかないと考えられる。若山教授はハーバード大学でクローンマウスを世界ではじめて作製された素晴らしい科学者である。
論文を撤回するかどうかは共著者の考え方によって決定されるべき問題である。今後理研は、存在の有無をゼロから調べるための検証実験を開始するとのことであるが、小保方氏を参加させたチームで実施すべきではないだろうか。STAP細胞は検証価値のある合理性の高い仮説と考えられるからである。
(2014年4月17日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)