妊婦の血液で胎児の染色体異常を調べる新型出生前検査が昨年の4月よりわが国で実施されている。日本産科婦人科学会の指針に基づき、遺伝カウンセリングを行うことを前提とした臨床研究として実施されているが、実施施設の9割以上が米国企業のシーケノムで検査されている。血液は空輸して検査されており、そのため費用は21万前後と高額である。
このたび日本の企業が米国のシーケノムとライセンス契約を締結し、日本での検査を開始する予定であるという。海外の企業で検査する際には、日本人の遺伝情報が流出する危険もあり、そうした批判に応えるためのものである。しかしながら費用も高価となり、普及にはずみがつく可能性があり、検査を受けようとする妊婦の心のケアが置き去りにされる懸念がある。
(2014年4月20日 読売新聞)
(吉村 やすのり)