妊婦の血液から胎児の染色体を調べる新型出生前遺伝学的検査(NIPT)が、開始され1年が経過した。この新型検査は遺伝カウンセリングを前提とした臨床研究として位置づけられている。診断の意義は命の選別ではなく、生まれてくる命に適切に対応することにあるはずである。この検査を導入することを決めたNIPTコンソシアムは、分析結果を先日の日本産科婦人科学会で報告したが、乙津氏が指摘されているように、本臨床研究の次に取り組むべき課題を提供すべきであろう。今後この検査がマススクリーニング化され、命の選別が行われ、ダウン症で生まれるべき子どもがほとんど中絶されるような事態に陥るかもしれない。 ダウン症で生まれた子どもがどのように成長し、社会がどのように接しているかを示すことが大切である。これにより妊娠中にダウン症と診断されても、妊娠を継続したいとクライエント夫婦が考えられるような態勢作りが急務である。 (2014年4月19日 朝日新聞) (吉村 やすのり)
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