成長戦略における医療制度改革の柱の一つは混合診療の拡大である。規制改革会議は、客観的に判断して安全な治療法で医師と患者が同意すれば、混合診療の対象とする選択療養を提唱している。しかしながら、厚労省は弱い立場の患者に、医師が高額の医療を押し付ける可能性があるとのことで慎重な立場を取っている。
総論で一致する医療費の削減も、各論では議論の遅れが目立つ。海外における新薬の開発状況を考えれば、新薬の使用がなかなか認められないようなわが国では、患者にとって医療の選択肢が狭められている。今後わが国においても混合診療の推進は、ぜひとも考えなければならない重要なテーマであろう。
(2014年4月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)