平均初経年齢は次第に若年化する傾向がみられ、100年間でおよそ3年半若年化してきましたが、1980年以降はわが国では変化がみられないようになってきています。また以前は都市部の女性では初経が早く起こり、郡部との差が明らかでしたが、今日ではその差がみられなくなっています。その平均年齢は12歳6カ月前後であり、体重が平均43キロ前後になると初経が始まると考えられており、開始には一定の脂肪量の蓄積が必要となります。
近年の性行動は、性交開始の年齢が下がったというより、若い時から性交を開始する若者が増加していると思われます。このような性行動の変化により性感染症(STD)は増加しています。今やSTDは、特定の性行動をする男女が感染する病気ではなく、普通の人が普通に性交渉をもつことで感染する病気と捉えられるようになっています。最も頻度の高いクラミジア感染症だけでなく、性器ヘルペス、尖圭コンジロームなどのウィルス感染症も増加しています。特にクラミジア感染症の男女差を比較すると、女性は男性の2~3倍であり、20代以下の思春期の女性が多いことが特徴です。将来、これら女性が卵管性不妊症につながっていくと思われます。近年、STD、特にクラミジア感染症の減少傾向が男女ともにみられています。一つには性感染症教育の成果であるとも思われますが、20歳代の若年層において性行為に関心がない若者の割合が高くなっており、異性との性行為を求める若者が減少し、クラミジアなどのSTDが減少したとも考えられます。
わが国における10代、20代の人工妊娠中絶の推移をみると、2003年まで増加傾向がみられていますが、その後減少傾向がみられます。ここ数年の傾向としては、特に10代の人工妊娠中絶の減少が目立っています。これは思春期における性教育の全国的な取り組みによるものと思われます。しかしながら、諸外国に比べると人工妊娠中絶数は圧倒的に高く、思春期からの経口避妊薬(OC)服用やさらなる性教育が必要と考えられます。また、20歳代の中絶率の減少には、性教育のみならずOCの普及が関与していると思われます。