未受精卵を凍結し、融解後の妊娠成績を表に示す。2012年には129周期において未受精卵が凍結され、68周期に融解後受精させ、移植された。6例に妊娠が確認され、移植あたりの妊娠率は8.8%であり、そのうち2例は流産に至った。生産児を得たのは4例のみであり、移植あたりの生産率は5.9%と極めて低率であった。
受精後胚の凍結においては良好な妊娠成績が得られているが、未受精卵の凍結後の妊娠率は、技術の進歩にもかかわらず未だ極めて低率である。パートナーがいない、キャリア形成のための妊娠ができないなどの理由で、未受精卵の凍結を希望する女性が多いが、妊娠できる可能性は高くないことを認識すべきである。社会的な卵子の凍結を実施する医療者も、未受精卵を凍結しておいても必ずしも将来の妊娠に繋がるものではないことを、クライエント女性に十分に説明する必要がある。
(生殖医療と生命倫理:吉村泰典)
(吉村 やすのり)