旧社会保険庁のずさんな管理で、基礎年金番号もない宙に浮いた年金記録が実に5,000万件以上もあった。第1次安倍内閣の時に発覚、当日野党は大いに追求したが、民主党政権下の日本年金機構でも解明は全く進まなかった。これは制度上の問題に起因する。である。今年の3月までに約6割の3,000万件あまりが解明され、受給した年金額で2.2兆円を回復したことになる。しかし未解明が2,000万件以上残っているとのことである。
米国においてはSocial Security Number,(SSN)があり、すべての国民のデータが一元化されている。わが国においても、そろそろ国民総背番号制を開始する時期にきている。国民の基本的な人権が制限されたり、行政機関による不法な監視などの観点から、反対意見も多いが、こうした制度の導入は、行政事務の効率化のためには必要な手段と思われる。
(2014年8月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)