管理職の男女格差

2030年までに女性の管理職に就く割合を30%にするという政府の計画にも関わらず、遅々として進展は見られない。OECD諸国の中では米国が43%と高く、欧州諸国の多くは30~40%であるのに対し、日本は10%前後のままである。勤務年数が同じでも、男女の管理職への昇進率は著しく異なる。その原因として、現時点では必要な知識や経験、判断力を有する女性がいないことを、過半数の企業が第一に挙げている。次に将来管理職に就く可能性のある女性はいるが、現在管理職に就くための在職年数などを満たしている者はいない、が続く。さらに勤続年数が短く、管理職になるまでに女性は退職するという考えが多い。つまりは企業サイドからの視点からは、女性は経験不足であるということである。

最近の調査では、長時間労働が女性のみ管理職登用への条件として重要視されていることが指摘されている。成果ではなく、長時間労働が主な基準であるなら、女性の管理職登用の推進は難しい。また本来、個人の適材適所で考えるべき人事判断にも、性別が大きく絡んでいることも多い。こうしたことが、高卒男性の方が大卒女性より管理職昇進率が高いという、世界的にみて異常な事態を生み出している。女性の活躍には、組織の伝統的な性別的役割分担の根本的な見直しが必要となる。

(2014年8月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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