厚生労働省の調査により、今年4月の時点で保育所に入れない待機児童がなお2.1万人いることが判明した。前年に比べて減少しており、これで4年連続の減少となった。待機児童は許可保育所に入りたいのに待機している状態で、入所を諦めている人は含まれない。保育所の定員は4.7万人増えたが、待機児童数は1,370人しか減らなかった。このことは、これまでの入所を諦めていた人が入所希望に転じたり、働きに出る女性が増えたりしたため、保育所の定員数に追いつかなかった状況にあることによる。
待機児童数を市区町村別にみると、自治体により、企業活用の差異により格差がでている。待機児童を減らした自治体は、株式会社を活用して保育所を増やし、定員数を拡大している。しかし、株式会社の参入に対しては、保育の質や継続的な運営に懸念があるといった拒否反応も残っている。既存の社会福祉法人を優遇するのではなく、競争条件を公平にすべきである。
(2014年9月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)