大企業の会社員が入る健康保険組合の財政が悪化している。高齢者医療を支えるため拠出するお金が、過去最大の3.2兆円まで増えることになる。政府は、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度を作ったが、その医療費の約4割は、現役世代の健康組合からの支援金によるものである。また、65-74歳の前期高齢者への納付金も健康組合から出している。
高齢者医療への拠出金は今後も膨らむことが予測される。団塊の世代が65歳以上になり、現役世代の負担が相当な勢いで増えることになる。高齢者の医療費の伸びを抑えるための効率化が不可欠であり、高齢者医療制度の抜本的な見直しが急務である。政府は、高齢化で増える医療費を消費税だけでなく、保険料負担をさらに増やすことで対応しようとしているが、企業の反発は強い。
(2014年9月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)