母親の左肺の一部を分割して、2歳児の両肺に移植する生体肺移植手術に岡山大学病院で成功した。肺として機能できる区域という最少単位に分割して、肺移植に成功したのは世界で初めてである。この技術により、今までは体格が小さくて移植できなかった乳幼児も救うことができるようになる。
2歳9ヵ月の男児は特発性間質性肺炎を発症し、両肺移植が必要になった。生体の肺を使用する場合、肺葉は1つしか摘出できないと決められているが、大人の肺葉は大きくて乳幼児の小さな体には収まらないことが多い。当初は大人2人から肺を一部ずつ提供してもらう想定であったが、母親以外のドナーが見つけられなかった。男児は術後2週間で人工呼吸器を外し、3週間で酸素吸入も使わなくなるほど回復しているという。ただ男児が大きく成長して肺の容量が足りなくなれば、再移植が必要になる可能性はある。
(2014年9月24日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)