大手の保険会社は、再生医療向けの新たな保険商品の販売を始める。再生医療を受けた患者らに、健康被害が生じた場合に、病院側に代わって保険金を支払うというものである。賠償金は一人あたり一億円とし、手術後最長10年間は保険の対象とする。この保険は、日本再生医療学会が創設する再生医療の臨床研究の「補償保険制度」に対応した商品である。
iPS細胞による再生医療は、まだ臨床研究が始まったばかりであり、移植した細胞のがん化をはじめとするさまざまな副作用が、どのようにしておこるかはまったく未知数である。政府も成長戦略の一環として、再生医療の実用化に力を入れている。神戸の理化学研究所では、目の疾患である加齢黄斑変性に対して臨床研究が始まった。このような保険商品は、再生医療の普及に向けた官民の取り組みを加速することになるかもしれない。
(吉村 やすのり)