国立成育医療研究センターの発表によれば、生まれた直後から皮膚の保湿を続けることで、アトピー性皮膚炎だけではなく、食物アレルギーなどのアレルギー疾患の発症が抑えられる可能性があるとのことである。生後1週間から32週まで経過をみた調査では、保湿剤を塗った子においては、アトピー性皮膚炎の発症リスクが32%低かったという。また湿疹のある子において、卵アレルギーを発症している割合が高かった。
アトピー性皮膚炎は皮膚の乾燥などによって防御機能が壊れ、アレルギーの原因物質といわれるアレルゲンが、体内に入りやすくなって起きると考えられている。保湿でアトピーを防ぐことによって、その後のぜんそくや花粉症などのアレルギー疾患の発症を防ぐことができれば、素晴らしい研究成果といえる。今後はより大規模な長期的な研究が待たれる。
(2014年10月2日 朝日新聞夕刊)
(吉村 やすのり)