インスリン分泌するβ細胞の作製

 I型糖尿病は膵臓のβ細胞が壊されたインスリンが分泌されない病気で、遺伝様式は不明ですが、子どもの頃に発症します。日本人の有病率は1万人に1人の割合で発症します。1日数回のインスリン注射が生涯必要であり、治療しないと命にかかわる病気です。β細胞がある組織の移植なども試みられていますが、提供者の不足や移植後の拒絶反応が問題になっており、実施されていないのが現状です。

 今回米科学雑誌セルに発表された研究は、ヒトiPS細胞やES細胞からβ細胞を分化させ、インスリン分泌が起こったという報告です。また糖尿病マウス移植するとヒトインスリンが分泌され、マウス高血糖の病状が改善したとのことです。今回の研究の安全性や有効性がさらに検証できれば、I型糖尿病の患者にβ細胞移植をすることにより、治療が可能になることが期待できます。

(2014年10月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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