民間企業においては、ジョブ型の拡大が進んでいます。パーソル総合研究所の2021年の調査によれば、57.6%の企業がジョブ型を導入済みか検討中です。国家公務員の人事制度を協議する人事院の人事行政諮問会議は、人材確保のため職務内容で報酬を定めるジョブ型を拡大する案を提起しています。
人事院は、職務内容で柔軟に処遇できる民間企業との待遇差が広がれば、専門人材らの確保が一段と難しくなるとみています。年功序列型の硬直的な制度を改め、専門能力を持つ民間人材の中途採用などを進めやすくします。
若手をより複雑な職務を担える仕事に登用できるようにし、能力のある人材の離職を防ぐ意図もあります。人事院の調査によれば、中央省庁で働く在職10年未満の総合職職員の退職者数は、2020年度に109人に達しています。2013年度の76人から4割強増えています。2023年度に採用した国家公務員の81.1%が、公務員の仕事の魅力向上策として、給与水準の引き上げを挙げています。23.6%が年次に関わらない柔軟な処遇の徹底と回答しています。
(2024年5月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)