東京大学の研究グループでは、新たな血液検査技術がアルツハイマー病を発症する前の早期診断に利用できることを日本人を対象とした調査で確認しています。発症にかかわるといわれるたんぱく質の脳内の蓄積を高い精度で予測でき、将来の早期の診断や治療につながるかもしれません。
アルツハイマー病の治療では、脳内に蓄積されるたんぱく質であるアミロイドベータに作用する薬レカネマブが、2023年に国内で承認されました。しかし、投与するには、脳内の状態を画像で確認できるPET検査や脳脊髄液検査でアミロイドベータの蓄積を調べる必要があります。より簡単な血液検査で、脳内のアミロイドベータの蓄積を把握できれば、本格的な検査の前に対象者を絞り込めます。
アミロイドベータの蓄積が始まっているが無症状のプレクリニカル期や、認知機能の低下があるが認知症にはなっていない軽度認知障害(MCI)で判断できるとしています。
(2024年5月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)