障害者モデルの活躍

内閣府の2023年版障害者白書によれば、身体、知的、精神を合わせた障害者の数は20年前の約2倍の1,100万人に達しています。日本社会の10人に1人は何らかの障害があることになります。障害のある人は数は今後も増え続けます。障害者を市場から排除せず、商品やサービスを通じた価値提供の対象と位置付けることが重要となってきています。
障害を持つ人がモデルとして活躍する場が広がっています。障害への理解を広げるため、当事者の親がモデル事務所を立ち上げるケースもあります。4月に改正障害者差別解消法が施行され、民間事業者に合理的配慮の提供が義務づけられました。障害の有無にかかわらず、機会やサービスが平等に提供される社会の実現に欠かせない存在になります。
障害者モデルの活躍は欧州や北米が先行しています。英国では2020年頃からダウン症のモデル、エリー・ゴールドスタインさんらがELLEなどのファッション誌などに登場するようになりました。人種や性差なども含めて、多様性への経験は欧米のほうが豊かで、企業が起用しやすい環境があります。日本でも起用の拡大が見込まれていますが、障害を強調するのではなく、社会の一員として自然に登場するCMや広告が増えることが期待されます。

(2024年5月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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