警察庁は、中央線がなく道幅の狭い生活道路の法定速度について、現在の時速60キロから30キロに引き下げる方針です。全国に約122万キロある一般道のうち7割が該当する見込みです。住宅街で歩行者が巻き込まれる交通事故を減らす狙いがあり、早ければ2026年にも見直します。
速度を抑制する背景には、歩行者の高い死亡率があります。2023年に交通事故に遭ってから30日以内に死亡した人のうち、37.1%は歩行中でした。国際道路交通事故データベースによれば、この割合は米国の17.4%や英国の22.7%、フランスの14.9%と比べ高率です。狭い道に歩行者や自動車が混在する交通環境も影響しています。
一般道の法定速度が60キロとなったのは1960年でした。歩行者の交通事故死者が年間千人近くに上がる中、安全確保を重視し交通政策を転換させるとしています。
(2024年5月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)