少子化をめぐるこれまでの動き

2016年に出生数が100万人の大台を割ると、わずか7年で2023年には72万人台に減少しました。政府は昨年末にこども未来戦略を決定し、2028年度までに年3.6兆円規模の対策を実施するとしています。
国は、30年以上前から対策に取り組んできました。1989年の出生率が当時の過去最低となり、翌年に1.57ショックと騒がれたことがきっかけです。エンゼルプラン、新エンゼルプラン、少子化社会対策基本法と様々な政策を打ち出し、待機児童ゼロなどを掲げましたが、2005年には合計特殊出生率が当時の過去最低の1.26に落ち込みました。
2009年に政権を握った民主党は、それまでの児童手当より増額した子ども手当を導入し、所得制限も撤廃しました。自民党は2012年に政権を取り戻した後、消費税率引き上げの財源を活用し、施設整備を軸とした待機児童対策のほか、幼児教育・保育の無償化も実施しています。2013年度に約3.3兆円だった少子化対策の予算は、2022年度には約6.1兆円と10年間でほぼ倍増しています。こうした施策でも少子化は抑えられていません。
今回の改正子ども・子育て支援法では、施設整備などの現物給付だけでなく、児童手当拡充などの現金給付を大幅に増やしています。財源確保には支援金を含め疑問が残されたままであり、将来的な負担への懸念も出ています。

(2024年6月6日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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