子宮頸がんの原因の約95%がHPV感染です。日本では、毎年約1万1,000人が罹り、約2,900人が死亡しています。20歳代後半から40代に多くなっています。子宮頸がん予防のために、現在のHPVワクチンが定期接種にされています。
(2024年6月15日 日本経済新聞)
ワクチンは日本では2009年に承認され、2013年4月に定期接種(対象は小学6年~高校1年生相当)となりました。接種後ワクチンとの因果関係が否定できない持続的な体の痛みなどが出たとの報告が相次ぎ、厚生労働省は積極的に接種を促すのを3ケ月後の6月に停止しましたが、2022年4月に再開しました。1994~1999年度生まれは5~8割程度が接種していますが、2001年度生まれ以降は極端に少なくなっています。キャッチアップ接種はこの世代に向けており、2025年3月末までは無料で受けられます。しかし、2022年度の初回接種率が全国で6.1%にとどまっています。
予防効果は、2020年に発表されたスウェーデンでの研究でワクチンによる子宮頸がんの減少効果が明らかになっています。167万人の10~30歳の女性の接種とがんリスクは、16歳以下で接種した人は接種していない人と比べて88%、17~30歳で接種した人は53%の減少効果がありました。その他世界各国より、ワクチンの子宮頸がんに対する予防効果や、安全性に対する検証結果が報告されています。
積極的勧奨が無い間に打つ機会を逃した女性が無料で受けられるキャッチアップ接種制度は最終年度を迎えました。今年度末までに3回打つ必要があり、初回は9月末までに接種すべきです。
(2024年2月作成 MSD製薬)
(吉村 やすのり)