2024年こども家庭庁公表の青少年のインターネット利用環境実態調査によれば、子ども達のネットの利用時間は、2歳で1日平均約1時間50分です。年齢とともに増加し、10歳で約3時間半、17歳は約6時間20分に上ります。低年齢化と長時間化がトレンドとなっています。ネットを使う機器として最も多いのはスマホで、74.3%です。10歳以上になると、親との併用より子ども専用の割合が高くなります。
ゲームや動画を含め、もはやネットは、子ども達の生活と切っても切り離せない存在になっています。政府の対策は、いかに子どもを遠ざけるかではなく、賢く使うことが前提となっています。しかし、子どもが脅かされて自分の裸体を撮影して送信させられる犯罪被害、SNSによるいじめ、誹謗中傷などが社会問題化しています。
青少年インターネット環境整備法が改正され、2018年から、携帯電話事業者や代理店に、フィルタリングを有効に設定する義務が課されるようになっています。こども家庭庁によれば、フィルタリング加入率は、現在7割程度です。
SNSによるメンタルヘルスへの影響への対策の必要性です。スタイルの良いモデルの画像ばかりを見て摂食障害になるケースが、海外では問題になっています。自傷行為の画像ばかりを見て、メンタルの問題が悪化するケースもあります。海外ではそうした画像は検索しても出てきませんが、日本では出てきてしまいます。
極端な言い方をすれば、大人は自己責任です。子どもは同じ権利があるけれども、全てが自己責任ということではなく、保護を受け、制限される場合があります。権利と保護のバランスということになります。SNSの誹謗中傷、メンタルヘルス、いじめ、犯罪など様々なリスクは大人にも生じますが、子どもの場合は最終的には保護者が守ることになります。子どもには個性があり、それに向き合えるのは親や教師です。
(2024年6月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)