1都3県の子育て中の男女の地方議員へのアンケートによれば、幼い子どもを育てながらの活動に困難を感じた地方議員は8割を超えています。当選前の政治・選挙活動について、未就学児がいることで困難をとてもまたは少し感じたことがある人は、91%の86人に達しています。当選後の活動も困難を感じたとの回答が83%の79人でした。未就学児を抱える女性議員は、ほぼ全員が困難に直面しています。
未就学児がいることで困難を感じた問題では、早朝や土日、夜の街頭活動が難しいと答えた人が、当選前72人、当選後61人とも最多です。当選後では、泊まりでの視察や会合があるが56人と続いています。無理解やハラスメントを受けたと感じたと答えた議員も、当選前が62人、当選後では51人にのぼっています。当選後に、第2子、第3子を希望していたが、産める環境ではないと思わされたとする回答も14人に達しています。
出産や子育てにより、選挙や議員活動でより多くの困難と向き合わざるを得なかったのは女性議員です。全国市議会議長会によると、女性割合は19.7%にとどまっています。多様性を保証するには、ハード面での議会改革も喫緊の課題です。育児や介護で忙しい世代が参入しやすい環境を整えるため、地方議会のデジタル化を進め、オンラインを活用した議員活動の拡大も必要となります。
(2024年6月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)