厚生労働省の発表によれば、仕事のストレスでうつ病などの精神疾患を発症し昨年度に労災認定された人は、過去最多を更新する883人でした。労災の認定基準として、昨年度から追加されたカスタマーハラスメントが原因だったのは52人でした。カスハラは、接客業や介護、看護などの職場で多く働いている女性が被害に遭いやすいとされ、認定された52人のうち45人が女性でした。
労災認定された人の年齢別では、40歳代が239人と最多で、20歳代が206人、30歳代が203人で続き、39歳以下の若年層が約半数を占めています。原因別では、上司らからのパワハラが157人、悲惨な事故や災害の体験、目撃が111人、セクハラが103人でした。自殺や自殺未遂をした人は、前年度比12人増の79人に上っています。
精神疾患の労災が増えている理由としては、精神障害も労災認定されるとの周知が進んだほか、認定基準の改正で心理的評価の項目が出来事別に拡充され、労働者が自分に起きた出来事がどれにあたるか判断しやすくなったこともあります。一方、過重労働などによって脳や心臓疾患を発症して労災認定を受けた人は、前年度比20人増の214人でうち死亡者は56人です。職種別では、トラック運転手などの自動車運転従事者が64人で最多でした。
(2024年6月30日 読売新聞)
(吉村 やすのり)