全国的には、公立の男女別学高校は減っています。戦前は男女別の教育が基本でしたが、1947年に男女共学などを定めた教育基本法が施行されました。GHQ主導の教育改革により、多くの公立高校で共学化が進められました。文部科学省の調査によれば、別学の公立高校は、1964年度には全体の13%にあたる382校(男子のみ210、女子のみ172)ありました。その後は、男女共同参画意識の高まりや、少子化の影響で共学化や統廃合が進んだことなどで、2023年度には全体の1%の45校(男子のみ15、女子のみ30)まで減少しています。
かつて東日本中心に多くあった公立の男女別学高校は共学化が進み、今では主に残るのは埼玉、群馬、栃木の3県だけになっています。そんな埼玉県で、共学化を求める勧告を受けた議論が大詰めを迎えています。約20年前は存続と結論づけましたが、男女共同参画が進む中で再度対応を迫られた県教育委員会は、8月末までに結論を出します。
公立高校の共学化に対しては、賛否両論様々な言い分があります。共学の方が性差を意識する機会が多く、別学の方がより自分らしく過ごし、学べる面もあります。一方で、法の下の平等を定めた憲法14条は、性別による差別を禁止しています。憲法に従えば、男女共学が原則です。トランスジェンダーの生徒が、将来履歴書の学校名で性的マイノリティーであることが明かされてしまう懸念も指摘されています。
(2024年7月31日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)