学童保育は、親が仕事で留守の小学生らを、放課後や長期休みに学校や児童館などで預かる事業です。1998年施行の改正児童福祉法で法制化されました。しかし、事業の実施は自治体の努力義務となっています。
共働き家庭の増加を背景に、利用希望者は都市部を中心に増えています。こども家庭庁の調査によれば、全国の登録児童数は、5月1日現在の速報値で約151万5千人と過去最多となっています。待機児童数も約1万8千人にのぼり、子どもたちの居場所確保が社会問題になっています。
全国学童保育連絡協議会の調査によれば、運営主体は公営27%、民間企業15%、NPO法人、社会福祉協議会、父母会や地域の役職者でつくる地域運営委員会が、それぞれ10%ほどとなっています。急増する学童保育の需要に自治体の対応が追い付いておらず、アウトソーシングの流れもあって、学童保育の民間委託が進んでいます。一方で、民間企業が学童保育の事業で利益を追求するあまり、保育の質や職員の待遇が悪化することもあり得ます。
受け皿が足りず、希望しても学童保育に入れず保護者が仕事を続けられないケースもあります。重大事故も相次ぎ、狭い空間に多くの子どもが密集している施設もあります。職員の過酷な労働環境や人手不足も課題です。どこが運営者であっても、保育ができているかどうか、事業の実施主体である行政が責任を持って監督する必要があります。
(2024年8月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)