咳が長引きやすいマイコプラズマ肺炎が広がっています。国立感染症研究所の調査によれば、8月5~11日に報告された1医療機関あたり患者数は、過去10年の同期で最多となり、6週連続で増えています。
マイコプラズマ肺炎は小児に多く、肺炎マイコプラズマと呼ぶ細菌に飛沫、接触感染して起こる呼吸器感染症です。感染してから発症するまでの潜伏期間が2~3週間と、一般的な風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどと比べて長く、発熱のほか、全身のだるさ、頭痛、咳などが出ます。発熱せず、咳だけにとどまることもあり、風邪と思い込み出歩いて人に感染させやすいことから、歩く肺炎とも呼ばれています。
マイコプラズマ肺炎は、3~5年周期で流行する傾向が見られ、小児が大きな割合を占めています。集団免疫が低下し、病原体に接したことのない子が生まれ、育ってくるタイミングで広がりやすくなります。コロナの感染症法上の5類移行から1年が経ち、感染対策が緩んでいることも影響しています。他の肺炎に使われるペニシリンなどの抗菌薬が効きにくく、マクロライドと呼ばれる抗菌薬を使います。近年はマクロライドの抗菌薬が効かない耐性菌も報告されています。
(2024年8月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)