赤ちゃんの原因不明の病気のゲノム解析

 新生児期に発症する遺伝性疾患の診断は非常に難しく、NICUに入院する1割弱の赤ちゃんは遺伝性疾患を持つとされています。しかし、赤ちゃんは症状を自分で説明できず、血液が少なく原因究明のために何度も採血することは困難です。体の組織も大人に比べて未熟で、症状がはっきりしないことも珍しくありません。

 病気の原因がわからない赤ちゃんの遺伝情報を解析し、原因を特定する取り組みが全国で広がっています。慶應大学など全国134施設が研究に参加し、これまで467人の重症の赤ちゃんを調べ約半数で原因を特定できています。うち半数は治療などに役立っています。

 患者家族の同意のもと、赤ちゃんと両親から採血し、網羅的に遺伝子解析します。病院に遺伝専門医がいない場合、チームの遺伝専門医がオンラインや対面で患者家族への説明に同席する仕組みを整えています。現在の参加施設で全国のNICU病床数の約半数をカバーしています。

 現在国内の取り組みは国の資金で賄われていますが、数年後には研究期間が終了します。今後どう社会実装を進めるかが課題となっています。

(2025年3月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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