性同一性障害特例法の性別変更5要件

 札幌家庭裁判所は、性同一性障害特例法の外観要件に関し、手術なしの性別変更から一歩踏み出し、ホルモン投与を含む身体治療なしの性別変更へ可能性を開きました。

 今回の判断は、性同一性障害特例法の外観要件に関して、2023年の最高裁判所の決定が積み残した課題に新たな答えを出しました。特例法は戸籍上の性別変更に5要件を定めています。トランス女性の場合、このうち生殖不能要件を満たすために精巣切除が、外観要件を満たすために陰茎切除が必要でした。最高裁判は生殖不能要件は違憲で無効と判断しています。外観要件については判断していませんでした。

 医学的な知見が進み、身体治療が必要とは限らないとされるようになり、医学的な合理的関連性がなくなったと認定しています。外観要件は、身体の侵襲を受けない自由を過剰に制約し、その程度は重大だとして違憲だと結論づけています。今後は、身体治療なしの性別変更に道が開かれる可能性も出てきます。

(2025年9月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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