ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビア掲載の論文によれば、2020~2024年に世界で発表された約110万本の科学論文への生成AIの使用率を推定したところ、コンピューターサイエンス分野が最も多い2割に上っています。月あたりの使用推定率の最大はコンピューターサイエンス分野で、抄録の22.5%、序論の19.6%でした。多い順に電気工学・システム科学、統計学などと続き、最も少ないのは数学で、抄録の7.7%、序論の4.1%にとどまっています。
ネイチャー系に載り査読された論文だけを抜き出すと、抄録の8.9%、序論の9.4%でした。チャットGPTが使用できるようになった2022年11月以降に、使用推定率が大きく増加しています。AI使用推定率が高いコンピューターサイエンス分野は、近年AI研究などに関連して論文数が急増するなど競争が激しく、論文を早く多く出すことが求められるためと考えられています。
科学誌サイエンスは、投稿論文においてAIにつくらせた文章や画像を使うことを原則禁止し、ネイチャーも画像の使用禁止や文章で使用した際の明示を求めていますが、ルールの曖昧さもあり、実態とは乖離しています。

(2025年9月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)