若者ケアラーへの支援

 東京都港区が公表した調査によれば、18~39歳の若者ケアラーの8割近くが何らかの不安を抱いています。子育てのみは除き、6.8%が家族の世話・介護を担っている、5.1%が過去に担っていたと答えています。ケアの対象は母親が31.1%で、祖母の28.3%、父親の22.2%と続いています。高校以前に介護を始めた人の3割が、進学時に学費などの制約や、経済的な不安があった、就職を考える人の4割が休まず働けるか不安とも回答しています。ケアの内容は多岐にわたっています。

 監査法人トーマツがまとめた調査によれば、全国1,200超の市町村のうち、18歳未満向けの相談窓口を設置せずは5%です。一方、18歳以降向けは35%が未設置でした。窓口はあるが他業務との兼務や担当者が不慣れなどで対応が十分でない自治体も多くなっています。昨年施行の改正子ども・若者育成支援推進法では、国や自治体は若者ケアラーも含めた支援の強化が必要だと定めています。

 若者ケアラー増加は見込まれ、介護とキャリアの両立ができなければ企業活動や人材確保に影響が出る可能性もあります。18歳未満には相談窓口がありますが、18歳以降の若者にも十分な支援を社会が実現し、進学や就職が難しくなる状況を変える必要があります。

(2025年11月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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