子どもの教育費の高騰

 授業料や塾代、習い事の費用など、子どもの教育費が上昇しています。文部科学省がまとめた子供の学習費調査によれば、幼稚園から高校3年生まで15年間の学習費総額は、すべて公立に通った場合で1人あたり596万円です。5年前に比べて約55万円も増えています。全て私立に通った場合は1,976万円で、約146万円の増加です。

 私立の学費などが上がっているほか、塾や習い事など学校外での支出が膨らんでいます。大手の大学受験塾の費用を見てみると、10年ほど前と比べ2倍程度に上がっています。大学の授業料も上がっています。私立大では、5年前と比べると、文系の授業料が年79万円から83万円へ、理系は年111万円116万円に上昇しています。授業料の標準額(年53万5,800円)が長年変わっていない国立大でも、標準額よりも高い設定にする大学が出てきています。

 国や自治体による教育支援制度は年々充実してきています。幼児教育・保育の無償化はすっかり定着し、公立高の授業料は所得に関わらず無償です。私立高についても一定の所得までは無償となっています。自治体によっては国の支援に上乗せしているところもあり、2026年度からは私立に通う高校生への支援引き上げも検討されています。

 比較的子どもにお金がかからない時期である小学校までの時期に積立額を増やすと、備えはより手厚くなります。12歳まで月1.5万円、それ以降は月1万円を積み立てると、高校入学時には最大270万円が用意できます。教育インフレの時代に、最も有効な対策は備える仕組みを早く整えることです。

(2025年11月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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