いじめ重大事態の増加

 文部科学省の発表した問題行動・不登校調査によれば、小中高校などが2024年度に認知したいじめの件数は76万9,022件、重大事態は1,405件で、いずれも過去最多となっています。2013年施行のいじめ防止対策推進法は、いじめで児童生徒が心身に深刻な被害を負った疑いのあるケースを重大事態と定義しています。学校や教育委員会に対し、第三者委員会などによる調査を速やかに行うよう義務付けています。

 こども家庭庁と文部科学省は、いじめの重大化を防ぐため、教員ら周囲の大人が気を付けるべきポイントを留意事項集として初めてまとめました。対応のポイントとして、トラブル内容について子どもから時間をかけて聞き取る、子どもがいじめを見て見ぬふりをする傍観者にならず、行動を起こせる環境をつくる、加害側の子どもに形式的な謝罪をさせる指導で終わらせず、毅然とした対応で指導するなどを挙げています。

 重大化につながり得る要素としては、子ども同士のトラブルへの教職員の慣れ、部活動など人間関係が固定化された閉鎖的な集団でのいじめなどが考えられています。中学校教員向けの事例では、高校進学直前に起きたネットいじめを取り上げています。SNSを使ったいじめは放置すると大きなトラブルに発展する可能性があるため、関係機関や書き込んだ生徒の保護者と連携して対応することが必要です。

(2025年11月27日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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