人口減対策が注目され始めたのは、今年の5月の日本創成会議の発表があってからです。創成会議は、国立社会保障・人口問題研究所が出した2040年の人口推計データを元に、子どもを産む中心世代の20から39歳までの若年女性の人口を試算し、全国の市区町村の約半数の896市区町村が消滅する可能性があると公表しました。政府は、6月にまとめた経済財政運営の指針である骨太の方針で人口減問題に言及し、50年後も人口1億人との目標を掲げています。
このように現在人口減が大きな問題として取り上げられていますが、総人口が減少すること自体に問題があるのではなく、少子化が根底にあることを忘れてはなりません。2055年には生まれる子どもは、現在の約100万人から50万人に減少することになります。50万人しか生まれない子どもが、どのようにして9,000万人の人口を背負っていくのでしょうか。もっと少子化問題を前面に押し出していかなければならないと思います。子どもを産むことができる若いカップルをどのようにサポートできるか、彼らが子どもを持ちたいと思えるような社会や環境作りが最重要課題であり、人口減の危機感を煽り、本質を見失ってはならないと思います。合計特殊出生率は、現在都市部では低く、地方では比較的高い水準を維持していますが、地方で低下するようになっては大問題です。
(2014年11月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)