国立社会保障・人口問題研究所は、2070年に日本の総人口が8,700万人になると予測しています。15~64歳の生産年齢人口は先行して減り、30年間ほど下降局面が続いています。その穴を埋めるために65歳以上の就業者が20年間で2倍に増え、女性の労働参加も進んでいます。これらの働き手は短時間・低賃金の就労に集中し非正規が多くなっています。
最大の問題は日本の生産性の低さです。労働生産性はGDPをベースに、就業者数または就業者数と労働時間を掛け合わせた数値で割って算出されます。OECDの統計によれば、日本の1人当たりの年間労働時間は、米国、カナダ、イタリアより短くなっています。目立つのは長時間働く人の多さと、それが結果に結び付かない状態です。長時間労働(週49時間以上)の就業者の割合は15%と、G7でも最も高くなっています。にもかかわらず、1人あたりの労働生産性はOECD加盟国の38カ国中、29位に低迷しています。

生産性が高まれば企業の収益が上がり、労働者の賃金上昇につながります。米国や欧州は、数十年かけて労働の評価軸を時間から成果に転換しています。最大の特徴はジョブ型賃金の浸透です。転職を重ねてキャリアアップするのが一般的になっています。米国は元来、能力主義の傾向が強く、成果給やボーナスの比率が高いとされています。転職による賃金上昇が通例で、平均の勤続年数は3.9年と長くはありません。

(2026年1月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





