乳幼児が感染すると重い肺炎になることがあるRSウイルスに対する妊婦向けのワクチンが、4月から原則無料の定期接種になる見通しです。RSウイルスは、かぜの原因になる一般的なウイルスの一つで、2歳までにほぼすべての子どもが感染します。生後6カ月未満でかかると、重症化リスクが高いとされ、乳児期の早期には無呼吸発作、乳児期~幼児期には急性脳症を起こすこともあります。気管支ぜんそくが後遺症として残ることもあります。
乳児に対するワクチンはないため、妊婦に接種することで体内に抗体ができます。その抗体が胎児に移行し、生まれたあとの赤ちゃんの発症や重症化を防ぐことになります。こうしたタイプのワクチンは、母子免疫ワクチンと呼ばれます。定期接種の対象は28~36週の妊婦で、接種は1回です。国内外の妊婦を対象とした臨床試験では、生まれてきた赤ちゃんの発症を防ぐ効果は、生後3カ月以内で57.1%、重症化を防ぐ効果は81.8%とされています。妊婦への副反応は、接種した部位の痛みや頭痛、筋肉痛などがみられることがあります。現時点で安全性に関する懸念は示されていません。
RSウイルスの予防には、生まれたあとの赤ちゃんに抗体薬を注射する方法もあります。ワクチンは接種後14日以内に生まれた赤ちゃんについては、抗体の移行が十分でない可能性があるとされ、有効性は確立していません。ワクチン接種前に早産となるケースも含め、抗体薬もあわせて予防に位置付けていくことが必要です。

(2026年1月11日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)





