厚生労働省の人口動態統計(確定数)によれば、2024年に国内で生まれた日本人の子どもの数は68万6,173人で、統計開始以降、初めて70万人を下回りました。前年から4万人以上減り、9年連続で過去最少を更新しています。1人の女性が生涯で産む子どもの数を示す合計特殊出生率も過去最低の1.15でした。最も低かったのは、人口の一極集中が進む東京都の0.96で、2年連続で1を割り込みました。最も高かったのは、沖縄県の1.54でした。
政府は1990年代から仕事と子育ての両立支援を進めてきました。幼児教育・保育の無償化など、子育て支援は確かに充実しましたが、出生数を増やすことはできませんでした。
女性が無償労働を多く担うほど、有償労働に充てられる時間やエネルギーは限られ、男女の賃金格差が広がります。子どもを持つと女性の収入が減る、いわゆる子育て罰も生じています。経済的不利は女性に出産をためらわせる要因の一つとなっています。厚生労働省の2024年の賃金構造基本統計調査によると、男性の賃金を100とした場合女性は75.8で、格差は過去最小となりましたが、なお開きがあります。
長年指摘されながら、ジェンダーギャップの是正を十分に進めてこなかった政治の責任は極めて大きいと言えます。今回の選挙では、男女の賃金格差解消や少子化が争点にはなっていないのは残念です。

(2026年1月29日 読売新聞)
(吉村 やすのり)





