緊急避妊薬の購入

 国内初となる市販の緊急避妊薬(アフターピル)の販売が2日から始まりました。医師の処方箋は不要で、望まない妊娠の可能性に直面した女性が薬を入手しやすくなります。薬の購入に年齢制限はなく、未成年でも保護者の同意は不要です。研修を受けた薬剤師が対面で販売し、購入後はその場で服用します。

 緊急避妊薬は、性交後72時間以内に服用することで妊娠を約8割防げるとされています。しかし時間がたつほど効果は下がり、24時間以内に飲んだ場合の妊娠阻止率は95%ですが、49~72時間では58%になってしまいます。副作用はほとんどないので、避妊に失敗したらなるべく早く服用することが大切です。

 厚生労働省がまとめた試験販売での調査によれば、緊急避妊薬を購入する理由は、コンドームの脱落や破損、不適切使用が75%でした。妊娠の可能性がある人であれば誰でも当事者になり得ます。2024年度の国内の人工妊娠中絶はおよそ12.8万件に上っています。緊急避妊薬が薬局で入手できるようになることで、より多くの思いがけない妊娠を防げることになります。

 緊急避妊薬はあくまで一時的な対処法です。排卵を遅らせる作用のため服用から約1週間後はかえって妊娠しやすくなることもあります。服用後は妊娠の有無の確認を含めて産婦人科で相談することが必要になります。避妊法の啓発や性教育の充実も大切です。避妊の成功率は服用中の排卵を抑制する低用量ピルの方が高く、妊娠を望まないのであれば、コンドームよりも効果が高い低用量ピルの定期服用を考えるべきです。

(2026年2月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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