公立病院の赤字

 総務省によれば、2024年度は公立病院のうち83.3%が最終赤字となり、赤字病院の割合は過去最高となっています。2024年度の地方独立行政法人を含む公立病院全体の最終赤字は4,059億円と、2023年度の2,055億円からほぼ倍増しています。過去最大の赤字幅だった2023年度を上回っています。医療機関の主な収入源となる診療報酬が賃金や物価の上昇に追いついておらず、採算がとれない状況が続いています。

 救急医療など収益確保が難しい分野は公立病院が担ってきました。高額の医療機器がいくつも必要な上に24時間体制で対応する必要があり、人件費もかさみます。採算がとれる病床の稼働率や使用率のラインが上がっていることから、このまま状況が改善されなければ、黒字の病院でも黒字幅の縮小や赤字への転落が懸念されています。公立病院の賃金は国の人事院勧告によって影響されており、経営状況が悪化すれば賃上げに転嫁できずに人材不足が加速する恐れもあります。

 首都圏や関西などの都市圏に立地する病院の赤字額が大きくなっています。規模が大きい分、収益性が下がったことで赤字が拡大しています。都市部には民間病院が多く、収益性の高い分野をカバーしていることから、公立病院に収益性の低い医療分野が集中している現状があります。

 2026年度は、医療従事者の人件費にあたる本体部分が3.09%引き上げられる見通しで、3%を超える改定は1996年度の3.4%以来で、30年ぶりとなる高水準です。処方箋などの薬価は引き下がるものの、全体の上げ幅は2.22%でプラス基調となっています。

(2026年2月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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