30歳の女性が、高校時代にがん治療で生殖機能を失う前に卵子を凍結保存し、12年後、受精卵にして子宮に戻し、今年8月に出産していたことが先日の日本生殖医学会で発表された。今回のように卵子を10年以上凍結保存して出産に至ったケースは珍しいとされているが、報道されるようなニュースとは思えません。これは医学的な卵子の凍結と呼ばれ、以前より実施されてきています。
10年以上凍結保存していたことが稀であるような報道ですが、思春期に採取した卵子を10~20年保存することは当たり前です。しかし、こうした未受精卵の凍結ができるようになれば、がん患者の妊孕性温存は可能となり、女性にとっては大きな福音となります。この際、卵子を凍結してあれば今回のように必ずしも妊娠できるとは限らないので、注意する必要があります。
(2014年12月6日 読売新聞夕刊)
(吉村 やすのり)