国立国際医療センターらは、経腟分娩をした577人について、①出産後に湯船につかる入浴を退院直後から許可したグループ(324人)と、②産後1カ月健診まで入浴を控えるように指導したグループ(253人)に分けて比較しています。その結果、どちらのグループも、子宮内膜炎や会陰にできた傷口の感染がみられた人はいませんでした。また、統計学的な有意差はみられませんでしたが、入浴したグループは、会陰や骨盤に痛みがでる割合や、産後うつの指標でハイリスクと評価される割合が低率でした。
日本では、産後1カ月健診まで湯船につかる入浴は控えるよう指導されてきました。しかし入浴することで、会陰の傷口や子宮内の感染リスクが高まるという医学的根拠はありません。一方、欧米などでは、出産後に座った状態で下半身だけ湯につかる座浴が、会陰部や骨盤周りの血流を促進させて痛みを和らげる効果があるとして注目されています。今回の研究結果により、入浴を控える指導には明確な医学的根拠はなく、産科領域に残る根強い慣習の一つだと考えられます。
出産後の女性は、分娩や育児、生活環境の変化で心身に大きなストレスを抱えがちです。入浴したことに満足したと感じた人が多く、産後直後の入浴は、疲労の軽減やリラックス効果につながる可能性もあります。


(国立成育医療研究センターHPより)
(吉村 やすのり)





