国立スポーツ科学センターが2015年度に実施した既婚または社会人アスリートを対象にした調査によれば、競技団体において育休や復帰に向けた制度が充実しているかの問いに対して、ほとんど支援されないとする回答が6割近くに及んでいます。育児サポートに関する経済的な援助も、ほとんど支援されないが77%に達しています。
女性アスリートが妊娠や出産で競技から一時的に離脱しても、気兼ねなく復帰してキャリアを続けられる仕組みを整えようという動きが相次いでいます。女子ゴルフでは、不妊治療を受けても不利益を被らないよう制度の拡充が進んでいます。妊娠・出産で女性選手が直面する悩みは見落とされがちで、活用のしやすさなど一層の充実が求められています。
日本の育休制度は、利用できるのが雇用保険の加入者で、プロ契約やスポンサー契約を結ぶアスリートは、個人事業主として扱われ利用対象から外れるケースがあります。早く復帰したいと焦り、産後復帰のイメージと現実のギャップに苦しむ選手が少なくありません。ランキングや給与面で保証があれば、不安を抱えがちな選手が行動に踏み出せる支えになります。アスリートも労働者であるという認識を広げ、その観点で制度が設計されるべきです。

(2026年3月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





