在職老齢年金制度の改定

 働く高齢者にかかわる在職老齢年金制度が、4月から変わりました。年金は原則65歳で支給が始まりますが、65歳以上でも働く人は多くいます。減額が始まる基準は3月まで月51万円でしたが、4月からの見直しで月65万円に引き上げられました。今回の引き上げによって、これまで減らされていた人は同じ賃金でも減額されなくなったり、今までより多く稼いでも年金が減らされにくくなったりします。

 将来受け取る年金額を増やすため、繰り下げ受給を考えている人は注意が必要です。年金を受け取り始める時期を遅らせると、65歳からの時と比べて、1カ月につき0.7%増額されます。70歳だと42%増、75歳だと84%増の年金額を生涯受け取れます。

 在職老齢年金制度の基準額の見直しは、人手不足が深刻になる中で、この制度が高齢者の労働意欲を削いだり、働き控えを招いたりしている点を厚生労働省は理由に挙げています。年金を受け取りつつ、50代の平均的な賃金で働き続けるケースを念頭に、基準額65万円を設定しています。65歳以上で働く年金受給権者約308万人のうち、在職老齢年金制度によって老齢厚生年金が一部でも減らされているのは約50万人です。今回の見直しを受けて、新たに約20万人が全額受け取れることになり、減額対象者は約30万人まで少なくなります。

 現在すでに人手不足なうえ、少子高齢化は今後も進むため、高齢の労働者に積極的に働いてもらう環境整備が必要です。就労抑制につながらず、支え手の役割も果たしてもらうような年金制度が望ましいと思われます。

(2026年4月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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