医師の偏在対策―Ⅴ

地方勤務医を増やすためには

 医師数は2024年末で約34万7千人です。20年前から7万人余り増え、1.3倍になっています。この間に日本の総人口は減少に転じ、国民1人当たりの医師数は他の先進国に肩を並べるようになっていますが、医師の地域や診療科の偏在は解消していません。偏在が生じるのは政府が医師数の上限を決めているのに、医師は勤務先や診療科を自由に選べるためです。勤務環境や生活条件が良い都市部に集中してしまいます。

 これまで医師の勤務先を指示する仕組みが偏在を緩和してきました。2000年代に入って設けた入学定員の地域枠も、卒業した県内の勤務を義務付けています。大学病院が勤務医を地方に派遣する医局人事もありました。しかし、2004年に必修化した臨床研修制度で大学病院以外の研修が増え、機能は低下してしまいました。

 日本経済新聞と日経メディカルオンラインとの共同調査によれば、医師の4割は偏在対策として開業規制が必要と回答しています。特に勤務医は必要との回答が多くなっています。病院勤務医が都市部で開業する動きが続けば、残った勤務医の負担がさらに重くなります。

 学費免除や医局人事で勤務先を指示する仕組みは限界があります。医師育成は国などの補助金で支えられ、国民皆保険制度で医療費の4割弱は公費で負担しています。保険料と税金を払う国民が等しく医療を受けられるように、一定期間の地方勤務を課す地域枠をさらに増やすなど医師の義務を広げる対策が必要となります。

(吉村 やすのり)

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