ロボットとAIによる自動実験施設

 東京科学大学は、研究者の代わりにロボットが科学の実験を担う国内最大級の施設の稼働を始めています。細胞の培養や遺伝子の検査といった実験を人間の100倍の効率で進めます。人手不足に対応し、がんや再生医療などの研究を加速できます。研究者が習得に時間がかかる作業を代替でき、今後は複数のロボットを効率良く運用するノウハウを蓄積します。

 自動実験施設は海外で開発が先行しています。英リバプール大学などは、単腕のロボットを使って水を分解する触媒を探す研究をし、従来の6倍以上の活性を持つ化合物を見つけています。8日間で688回の実験を繰り返し、2020年にNatureに論文を掲載しています。米国では実験設備の製造などを担う企業が相次ぎ登場しています。

 自動実験施設に関わる世界の論文数は、2020年頃から増え始め、2025年には2024年比で約3倍の153本に増加しています。科学研究などを自動化するシステムの世界市場は、2030年に2026年比で4割増の約122億ドル(約1兆9,000億円)に達するとされています。

 実験を担うロボットが普及すれば、研究者は空いた時間をプロジェクトの構想立案や学生の教育に使うことができます。日本は少子高齢化で研究者の確保が難しくなる懸念もあり、科学研究を担うロボットの導入は急ぐべきです。

(2026年4月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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