カスタマーハラスメント対策の義務化

 カスタマーハラスメント(カスハラ)は2024年頃から社会問題となり、新語・流行語大賞にノミネートされました。カスハラに該当する可能性がある行為として国や都の指針では、大声で執拗に責め立て金銭を要求することや、土下座の要求、従業員の顔や名札を撮影してSNSで公開することなどを挙げています。こうした行為は、脅迫罪や名誉毀損罪などに当たる可能性もあります。客側に禁じる行為や企業側が講じるべき対策などを盛り込んだ条例は、現在10以上の自治体が整備しています。

 都の調査によれば、従業員の被害防止対策に取り組んでいない企業は約6割に上っています。対策をしていない理由として最も多いのが、正当なクレームとの判断の難しさが29.6%で、ノウハウ不足が23.8%、発生状況の把握が困難が16.7%と続いています。要求内容が過剰になった場合、どこからを不当と見るかに対応の難しさがあります。

 2025年6月に改正された労働施策総合推進法により、今年10月からは全ての国内企業に対してカスハラ対策が義務付けられます。従業員向けの相談窓口の整備や対処マニュアルの策定などを促していますが、中小企業は大手と比べて人手やリソースが少なく、自前で整備するのは簡単ではありません。被害防止策を浸透させるには、業界ごとにカスハラの事例共有や効果的な対応について検討すべきです。

(2026年6月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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